プラダを着た悪魔 あらすじと感想

プラダを着た悪魔 (字幕版)

あらすじ

ジャーナリスト志望のアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)は、ノースウェスタン大学を卒業し、就職先を探していた。ファッション業界に興味は無かったものの、有名な編集長の元で働けば箔が付くと思ったアンドレアは、有名なファッション雑誌「ランウェイ」のアシスタント職に応募する。

運良く、採用されたアンドレアだったが、編集長のミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)は、要求が異常に厳しかった。最初はあまり乗り気ではなかったアンドレアだったが、彼氏のネイトの支えと、家賃の為の仕事と割り切る事でなんとか乗り切っていた。

ある時、ミランダは悪天候で欠便になった飛行機を何とか飛ばすように要求して来た。無茶な要求だと分かりつつも、アンドレアは飛行機の予約を確認する。あらゆる対応を考えたものの、万策尽きて、結局、ミランダの要求に応える事は出来なかった。

ミランダはアンドレアに失望し、辛く当たる。

アンドレアは努力が認められていないと腹を立てたが、そもそもファッションに興味が無かった自分を省みて、変わる事を決意する。

同僚のナイジェルの助けで、その日からアンドレアは見違えるようにオシャレになり、仕事も卒なくこなして行った。

仕事の評価はどんどん良くなっていったが、彼氏のネイトや友人たちはアンドレアの急な変わりぶりについて行けないようだった。

アンドレアはネイトと上手く行かなくなっていく不安を感じながらも、仕事を上手くこなせている自分に満足していたし、人脈も広がって、ジャーナリストの夢も掴めるのではないかと期待していた。

アンドレアの努力が報われ、ミランダに気に入られ始めたのは良かったが、同時に意図せず、同僚のエミリーを蹴落とす決断を迫られる。

また、プライベートも破綻し始め、本来自分がなりたかった姿とのギャップを感じ始める。

そんな中、編集長の座を守るために、長年の同僚であるナイジェルの期待を裏切る仕打ちをしたり、2度の離婚をしてもなお、自分を肯定し、仕事に打ち込むミランダを目の当たりにしたアンドレアは、ミランダに振り回されるのを止め、自分の道を歩み始めるのだった。

 

感想

ストーリーというものは特にない。仕事は出来るけどわがままなオバさんに、大学を卒業したての若者が振り回される、それだけの話だ。

それでも、飽きずにずっと観ていられるのは、アン・ハサウェイの可愛さとメリル・ストリープの辛辣な演技、お洒落なファッションとインテリアが惜しみなく披露されるからだろう。

また、ミランダの第1アシスタント(途中から第2アシスタントに降格)のエミリー(エミリー・ブランド)も中々いい役を演じている。

アン・ハサウェイとは対照的な顔だちで、作品中でのキャラクターも真逆である。

エミリーは、最初の頃こそアンドレアをバカにしていたが(ただバカにしつつも中々面倒見はよく、根本的にいいやつ)、アンドレアが成長するにつれ、打ち解けていく。

エミリーと対比する事で、アンドレアの純朴さや成長度合いが伝わりやすい。

 

物語の締めくくりも実に鮮やかである。電話を噴水に投げ入れるアンドレアの晴れやかな表情といい、アンドレアを失い、ショックを受けつつも自分の道を踏み外す事は絶対にしないミランダ。

仕事とプライベート、どちらを選ぶかはその人の考え方次第だ。しかし、選んだからには後悔せずに前だけを見て突き進む。是非とも真似したい生き方だし、見終わった後に勇気をくれる映画だ。

 

 

 

英国王のスピーチ

英国王のスピーチ (字幕版)

吃音がコンプレックスになってしまっているジョージ6世の物語。

物語は、吃り癖を治すというシンプルなテーマを軸としているが、友情や王族の葛藤など、引き込まれるエピソードが散りばめられていて、期待以上に楽しめた。

あらすじ

1925年、大英帝国博覧会でヨーク公アルバート王子は父親のジョージ5世の代理演説を行った。アルバート王子は、緊張すると言葉がうまく出て来なくなる吃音症であり、演説は失敗してしまう。

妻のエリザベス妃は、夫の吃音症を何とか克服させようとあらゆる医者に当たってみたが、効果は得られなかった。

ある時、エリザベス妃は言語療法士を名乗るライオネル・ローグという男を見つけた。オーストラリア出身のローグは、いかにも胡散臭い男で、胡散臭いオフィスで働いていたが、エリザベスはアルバートを何とか説得し、ローグの元に通わせる事にした。

 

第一次世界大戦後、戦争神経症を患う兵士に、雄弁術を活用した治療方法で成功していたローグは、独自の治療法でアルバートの吃音症を治そうと試みる。

治療には対等な立場が必要だとして、アルバート王子を愛称の「バーティ」と呼び、自分の事は「ライオネル」と呼ばせた。

無作法な振る舞いはアルバートの癪に触ったが、「ハムレット」のセリフを朗読出来るか、という賭けにうまく乗せられてしまう。ローグは音楽を流したヘッドホンをアルバートの耳につけ、自分の声が聞こえない状態で朗読させ、さらにはその声を録音していた。

腹を立てて帰ってしまったアルバートだったが、ローグに渡されたレコードを後で聞いてみたところ、そこには吃りがなくうまく朗読出来ている自分の声が録音されていたのだった。

 

アルバートの兄デイヴィット王太子が王位を継ぐ予定であったが、デイヴィットは王に不適格(離婚歴のある女性と結婚する事は当時認められていなかった)であると判断され、父ジョージ5世の死後、アルバートがジョージ6世として即位する事になってしまうのだった。

 

一方、世界情勢は混迷を極めており、近い将来、ヒトラー率いるドイツと戦争に突入するであろう事は明白だった。ジョージ6世となったアルバートは、国民を導く王の役割を全うすべく、大英帝国全土に向けた緊急ラジオ放送を行う事になる。

 

感想とか

吃音症の克服をストーリーの中心に置いてはいるものの、ロイヤル・ファミリーと庶民ライオネル・ローグの友情物語といった方がいいだろう。

イギリスの王族は、「王」というイメージよりは若干庶民的な感じがする。普通に怒る(当たり前)し、普通に卑猥な言葉を使ったり(公には禁止されている)もしている。そこらへんの本来の人間性を無理やり強制された歪みが、吃音症として表面化しているとライオネル・ローグは睨んでおり、わざと愛称の「バーティ」と呼んだりして、アルバートの本音を引き出していく。

まあ、王族も楽じゃないんだなーと(笑)

アルバート役のコリン・ファース(この人、日本人だと石原良純っぽいと思うのは私だけだろうか(笑))の演技も上手く、スピーチの場面では見ているこっちが緊張してしまう。子供っぽさというか、おぼっちゃま感もいい感じに出ていて、応援したくなるキャラクターを見事に演じきっていると言えるだろう。

結局、最後の戦争突入前の演説は、決して吃音症が完璧に治ったとは言えないのだが、とても威厳のあるスピーチに聞こえた。

 

ストーリーだけでなく、当時の、戦争前の不穏な世相を反映した空気感や、ロイヤルファミリーの儀式や生活など、ちょっとした小ネタや建築物(インテリア)が楽しめるところも良かった。歴史の授業が好きだった人は絶対に楽しめる映画だと思う。

レボリューショナリーロード

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで (字幕版)

「燃え尽きるまで」というサブタイトルはちょっと余計な気がします、、、(笑)

過去記事:あと1センチの恋

とか

過去記事:アバウトタイム

とか

過去記事:世界一嫌いなあなたに

と同じようなパッケージ写真だが、中身は全然違って暗い話です。そういうちょっと甘い要素が欲しい人は別の映画を見ましょう。食べ物だと全然甘くないチョコレートです。この映画。

この二人だとタイタニックとかロマンス路線イメージが先行してしまいます、、、

 

大好きなケイト・ウィンスレットがちょっと痛い役を演じている今作なのですが、ちょうど私が普段から考えている事と同じだったのでびっくりしました。

アメリカでも、サラリーマンとして生きていく事にウンザリする人って当然いるんだなーと。(まあ、当たり前なんですが)

満員電車に乗って通勤し、うんざりしてデスクに座る姿が、今の日本のサラリーマンに重なるものがあります。そんな日常に嫌気がさして、パリに行く事を決めるのですが、周りはどこか馬鹿にした風で、、、

 

あらすじ

舞台は1950年代のアメリカ。

フランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)は、そこそこ裕福な家庭を築き、子供にも恵まれて暮らしていた。近所の人からも理想の夫婦と評されていたウィーラー夫妻だったが、夫妻は不満を抱えていた。

エイプリルは俳優志望だったが、チャンスに恵まれなかった。フランクはサラリーマンにはなりたくないと思いながら育ったが、現実は厳しく、父親が働いていた会社で働かざるを得なかった。

現実に息苦しさを感じていたエイプリルだったが、ある日結婚当初憧れていたパリに移住する事を思いつく。フランクは馬鹿げた考えだと否定したが、エイプリルに説得され、次第にその気になっていく。

エイプリルの友人で、不動産仲介業を営むヘレン・キヴィングスの息子ジョンは、数学の博士号を取得したインテリだったが、精神疾患を患っていた。ヘレンはウィーラー夫妻に療養の一環としてジョンと会ってほしいと頼む。ジョンは少し変わった男だったが、真実に忠実であるがゆえにウィーラー夫妻の不満を鋭く見抜いていた。

エイプリルに反して、フランクは本心ではパリでの生活が厳しいと感じており、また運の悪いことにエイプリルの妊娠が発覚してしまう。

感想

なんかエイプリルの言動が、自分と重なって食い入る用に観てしまいました。

俳優という志があった頃は、不安ながらも、希望に満ちていた。俳優という夢を諦めてしまった今となっては、何を目指して毎日を過ごせばよいのか分からなくなる。

夫がサラリーマンとして働くことで収入はあるし、子供も健康に育っている。申し分ない家庭ではある。自分は専業主婦で、特に困った事はない。しかし、決定的に何かが足りない。時間だけは過ぎて行き、少しずつ可能性が削られていく焦り。自分はこのままでいいのだろうか? 今まで自分はこのために頑張って来たのだろうか?

エイプリルには新しく希望や夢が必要なのだ。それがパリでの新しい生活だった。

 

それを理解してくれたのは、精神疾患を患ったジョンだけだった。「絶望するには勇気がいる」とジョンは言う。

この言葉の意味はすぐには分からなかった。

多くの人は、絶望的な状況に陥ってもそれを直視することなく、ぬるま湯のような日常に使って満足しているという事なのだろうか。

直視してしまえば、ジョンのように頭がおかしくなってしまう。

ジョンの言葉を借りれば、フランクは絶望する勇気がなく、怖気づいてパリ行きを諦めてしまう。(諦めるべき合理的な理由を次々と作り始める)

フランクの判断がまともな大人の判断なのだろう。もちろん、理性では分かっているが、どうしてもエイプリルに加担してしまった。

 

物語の最後で、ジョンの両親(キヴィングス夫妻)の会話シーンが挿入される。夫は妻のつまらない話を補聴器を切って、聞かないようにしている。うまくいっている(?)一応離婚せずに続いている夫婦は、相手の話を聞いていないというシーンなのだが、これが物語全体への皮肉となっているのだろう。エイプリルもジョンも絶望を直視する勇気があったがために破綻した。しかし、現実を直視せずうまく思考停止している人間は社会でうまくやっていける。(それが幸せかどうかは分からない)

私はジョンやエイプリル側の人間(自分で勇気があるとかいうのはかなり痛いんだけれど)なので、ちょっと観ていてしんどかったです。(笑)

共感度          ☆☆☆☆☆
憂鬱度          ☆☆☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

マッチポイント

マッチポイント (字幕版)

 

   端的にいえば、プロテニス選手がお金持ちと結婚して、逆玉の輿って話。そこに、浮気やら殺人やらのドロドロした要素が上手くブレンドされていて、昼ドラっぽい展開なんだけれども、外人が演じているとダサくは見えないのが不思議なところだ。

あらすじ

  元プロテニス選手のクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、テニスクラブのコーチの仕事をしていて、上流階級のトムとテニスを通して親しくなって行く。トムの妹のクロエと結婚する事になるのだが、トムの婚約者でアメリカから来たノーラ(スカーレット・ヨハンソン)と出会ってから、彼女の事が気になり始めてしまう。

クロエと結婚生活を送り、クロエの父親の会社で働きながら、時間を見つけてノーラと密会するクリスだったが、皮肉な事に妊娠を望むクロエではなく、ノーラが妊娠してしまう。ノーラは中絶を拒否し、なんとしても子供を産むと主張する。

クリスは次第に身動きが取れなくなって行き、、、

 この映画の魅力

主人公のクリスが劇中で友人にこう呟く。

金持ちの生活はクセになる

このセリフにあるように、劇中で出てくる上流階級の暮らしは見どころの一つだ。眺めのいいマンションに住み、会社では役職を与えられ、休みは家族で別荘で過ごし、ハンティングに興じるというなんとも羨ましい生活だ。

主人公のクリスは、クロエの社会的地位やお金に惹かれたが、容姿はノーラが好みであったようだ。映画全体としても、ノーラ(スカーレット・ヨハンソン)の妖艶な美しさに焦点を当てている。ノーラの顔をアップで映しているシーンや、雨に濡れたノーラをクリスが追いかけるシーンなど、引き込まれるような「美」をノーラ(スカーレット・ヨハンソン)が担当しているのだ。

個人的にも、「アレ!?スカーレット・ヨハンソンってこんな感じだっけ?」とびっくりした。

彼氏は歳上に限るなど、物議を醸し出す発言の多い彼女だが、人を惹きつける魅力のある彼女が言うからこそ、話題になるのだろう。

そんなスカーレット・ヨハンソンが本作では魅力の一つとなっている。

 全体として

クリスがどんどん追い詰められて行く様子は、ハラハラして観るのが辛く、結末の前で一旦切って2回に分けて観ることとなった。笑

その辺が「マッチポイント」なのかなーと思って観ていたが、最後にどんでん返しもあり、非常に満足する内容だった。

暇でつまんないなー、なんていう休日に観ることを是非ともおすすめしたい。

ホリデイ

ホリデイ (字幕版)

大分前に視聴したのだけれど、ずっと感想を書きたかった。

マイ・インターンなどで有名なナンシー・マイヤーズ監督作品。

ジュード・ロウやキャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレットやジャック・ブラックなどキャストも豪華だ。ケイト・ウィンスレットといえば、タイタニックのイメージだが、恋人役にスクールオブロックのジャック・ブラックを持ってきたのは上手い采配だと思う。

  あらすじ

ロンドンの新聞社で働いているアイリス(ケイト・ウィンスレット)は、恋人だと思っていた同僚のジャスパーが、他の女性と婚約したことを知る。

一方、アメリカの映画の予告編を制作している会社を経営するアマンダ(キャメロン・ディアス)もまた、夫の浮気を知り、離婚を決意する。

遠く海を隔てた無関係の2人を結びつけたのは、インターネットの「ホームエクスチェンジ」サイトだった。

悲しいのに涙が出ないアマンダだったが、インターネットを検索していると、イギリスの田舎町にある素敵な家が目にとまった。その家は、アイリスが住んでいる家で、連絡を取ってみると、同じく恋愛で躓いたアイリスが、環境を変えたがっていた。

  この映画の魅力

ナンシー・マイヤーズ監督の作る映画は、インテリアがいいと言われる。確かに、登場人物がよく馴染んでいるというか、もの言わぬ背景によって、そのキャラクターの背景が語られているようなところがある。

例えば、映画の予告編制作で成功したアマンダの家は、広くて綺麗で、オシャレでソツがない。ビジネス的な成功者の住む家だが、何かが足りていないような感じがする。物質的には満ち足りているが、その反面、大切な何かが欠落している。

一方、アイリスの家は、小さいが彼女の好きなものが置いてある、趣味のいい家だ。アイリスの優しい性格を表しているかのようだが、どこか脆く、都合よく、利用されやすそうな部分もある。

ジャスパーに都合よく利用されていたアイリスだったが、遠く離れたロサンゼルスの地で、アイリスは開放感を味わう。アマンダの友人のマイルズ(ジャック・ブラック)がそこを訪ねてきて、新しい新鮮な空気が、アイリスの人生に吹き込む。

また、アマンダもアイリスの兄であるグラハム(ジュード・ロウ)と出会い、以前と状況が変わり始めたと感じる。

恋愛関係の失敗は、非常に痛手ではあるが、前に進めば、また新しく楽しい未来が見えて来る、その瞬間を映画中で上手く捉える事に成功している。

偶然発生したハプニング(ジャック・ブラックがケイト・ウィンスレットの胸を触ってしまう)なども、そのまま使用しており、キャストは大物ばかりにもかかわらず、等身大のキャラクターに見える点も、観客を映画の世界観に入り込みやすくしている要素の一つだ。

全体として

爽快度                        ☆☆☆☆

ラブストーリー度    ☆☆

オススメ度                ☆☆☆☆☆

ラブストーリー的には、突然イケメンが現れるなど、ちょっと現実離れしすぎている気もする。しかし、いきなり海外の知らない人と家を交換するなど、突飛な行動をとるストーリーなので、あまり違和感は感じなかった。

最近のAirbnbに見られるように、ホームエクスチェンジという要素が題材として面白い。

日々のマンネリした気分を吹き飛ばしたい人にオススメな映画だ。

アバウト・タイム

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ (字幕版)

 

レイチェル・マクアダムスが可愛くて、観ることに。

昔は海外の女性に多い、ふっくらした二の腕が苦手だったのだが、最近は歳を重ねたせいか、その辺も含めて魅力的に思えてきた。レイチェル・マクアダムスは、どこか母性を感じさせる雰囲気のある女優だ。この映画も、子供が生まれたりして、母親の役をしているのだが、理想の母親といった感じである。

 

パッケージは恋愛映画っぽい(その方が受けがいい?)が、内容はどちらかと言えば、家族愛みたいなものがテーマとして全面に出ているように思う。特に、ビル・ナイ演じる主人公のパパが魅力的だ。あんなお父さんがいれば、人生すごく楽しいんじゃないだろうか?

 

ただの日常系ドラマに終始せず、ちょっと不思議な力を持つ主人公という設定も、すんなりと馴染んでいて、なんだか心地良い映画だった。

 

あらすじ

 

イギリスの田舎に住むティム(ドーナル・グリーソン)は、父(ビル・ナイ)と母(リンゼイ・ダンカン)、叔父のデズモンド(リチャード・コーデリー)、妹のキット・カット(リディア・ウィルソン)と暮らしている。

21歳になったとき、父から呼び出されて、一族の秘密を告げられる。一族の男は、タイム・トラベルが出来るのだと父は言う。

夏になると、妹キット・カットの友達のシャーロットが夏休みを過ごすため、家に滞在するようになる。ティムはシャーロットを意識するようになり、シャーロットが帰ってしまう最終日に告白するも、うまくいかなかった。もっと早く告白してくれれば、と言うシャーロットの言葉を真に受けたティムは、タイムトラベルを駆使して、再度シャーロットに告白するが、結果は同じであった。

夏が終わると、ティムはロンドンに出て弁護士を目指す。父の知り合いで、人間嫌いのハリーと一緒に住む事になる。ある日の夜、ティムは暗闇で相手の顔が見えない、変わったレストランで遊んでいた。店を出た後、女性を誘おうと試みるが、一体どんな女性が出て来るのかドキドキしながら外で待つティム。後から店を出てきたのは、ハッとするような美人だった。彼女は出版社で働くアメリカ人女性でメアリーという名前だった。メアリー(レイチェル・マクアダムス)から電話番号を聞く事に成功したティムは、心を躍らせながら帰路に着いた。

家に帰ってみると、脚本家のハリーが劇の公演がうまくいかずに落ち込んでいた。ティムはタイムトラベルの力を使って過去に戻り、劇を成功させた。

タイムトラベルの力を使ったせいで、メアリーの電話番号が消えている事に、ティムはこのときまだ気付いていないのだった。

 

この映画の魅力

 

監督は、ラブ・アクチュアリーのリチャード・カーティス。日常のちょっとした喜びを撮影するのがとてもうまい。

でも、今回はなんとタイムトラベルものだった。あまり日常とは言えない要素を持ち込んではいるが、仰々しさや子供っぽさは無く、いい感じにストーリーに馴染んでいるところがすごい。

何度も過去をやり直すことができる主人公なわけだが、その力が逆に、今目の前にある日常がいかに素晴らしいものであるかを理解させてくれるのだ。

 

外人と言えば、日本人よりも全然コミュ力が高いという先入観があるが、ドーナル・グリーソンはどちらかと言えば隠キャの方に入るだろう。タイムトラベルでティムを知らない事になっているメアリーに、必死にアプローチする姿はちょっと痛々しいが、妹のキット・カットはなんとか兄が頑張れるように応援してくれる。日本にはない、ある意味、欲望に正直な人間関係も、海外の映画をみる上での一つの魅力だ。

 

個人的には、ティムがメアリーの父親にオーラルはまだしていません(だったかな? ちょっとうろ覚え)と空気を読めずに言ってしまうシーンが一番面白かった。笑

メアリーは家柄が割と厳格らしく、父親は相当怪訝な顔をするのだが、映画としては笑いどころなのだろう。

 

全体として

 

ラブ・アクチュアリーに関してもそうなのだけれど、監督のリチャード・カーティスの目には、この世界はまんざら悪くないものに見えているのだろう。悪い事もまあ起こるけれど、全体としては楽しいよね、というような。そうした雰囲気が、まあ私のようなダメ人間でも、明日からまた頑張るかなーという気にさせてくれる。この映画を観終わったあとは、ちょっと誰かに優しくしようかな、と思ってしまう。

 

おすすめ度    ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

元気出る度    ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

SF度       ⭐︎⭐︎⭐︎

 

土曜日の晴れた昼なんかに、時間が空いていたら観ることをおすすめする。きっと休日がいい気分で過ごせることだろう。

 

あと1センチの恋

あと1センチの恋(字幕版)

 

 正直、邦題は「なんでその名前にした?」みたいなのが多いのだが、これに関してはストーリーとまあまあマッチしていたと思う。
 イギリス版少女マンガという感じであった。ちなみに筆者は、少女マンガはほとんど読んだ事がないので、あくまでイメージだ。
 それにしても、セックスの話題を開けっぴろげにしすぎ感はあるのだが、恥じらいはないのだろうか?  笑
まあ、でも、良くも悪くもあっさりバッサリしていて、憎めない。(日本だとすぐにビッチ扱いされそうだ)
 メインキャストは、リリー・コリンズとサム・クラフリン
 サム・クラフリンは、恋愛映画ではおなじみのイケメン爽やか俳優、リリー・コリンズはあまり知らないが、太い眉毛が素朴で可愛らしい。お嫁さんにするなら間違いないといった感じである。
 なお、コンドームなくなる現象は全世界共通らしい。笑

あらすじ

 幼馴染のロージー(リリー・コリンズ)とアレックス(サム・クラフリン)は、小さい頃からずっと仲が良かっただけに、お互いの好意をどう扱ってよいか分からないまま、大人になってしまう。ある時から、アレックスはベサニー(スキ・ウォーターハウス)と付き合い始め、ロージーはもやもやとした気持ちを抱える事になる。ロージーも自分の恋人を見つけようと、グレッグ(クリスチャン・クック)と付き合い始めるが、幸せかと言われるとイマイチ実感が湧かない。
そんななか、アレックスのハーバード入学が決まり、ロージーもボストン大学に合格した。二人は一緒にボストンへ行くつもりだったが、ロージーの妊娠が発覚してしまう。

映画の見所

 現実に起こるとなかなかしんどい事が次々に起こるが、全体のとして明るいテンポで話が進むので、観ていて心地よさがある。
 ベタベタの重苦しい恋愛話という感じでもないので、カップルで観ても気まずい雰囲気にはなりにくい。話の節々で、ユーモアが効いていて、強く生きるロージーが観客に元気をくれる、そんな映画だ。
 劇中の言葉が印象に残っている。
  あなたどうかしてるわ!  こんなクソみたいな人生にしがみついて!
 アレックスの人生は傍目には華やかで、成功しており、クソでは全然ないのだが、ロージーという最も大事なものを失ったまま、「これで幸せなんだ」とどこか自分に言い聞かせている節がある。
 本当は分かっているクセに、というわけである。
 一方のロージーもまた同じで、アレックスという片割れを失ったまま、グレッグと結婚生活を送り、娘のためだと自分に言い聞かせる。ロージーもアレックスもいまの結婚生活に特別不満があるわけではないのだが、何か大切なものをどこかに置き忘れて来てしまったような、違和感を抱えたまま生活を送る。
恋愛だけでなく、人生において、老若男女問わず、自分の本当に欲しいものを、プライドとかくだらない理由で取り損ねてしまう事はよくあるので、埋まらない穴をなんとか埋めようと、自分の本心に嘘をついた事は誰でもあるだろう。
あー、なんか分かるわーと自分に重ねて映画を観る事ができるので、映画の中の登場人生に親近感がわく。
この映画のいいところはそんなところだ。

全体として

恋愛度          ☆☆☆☆☆
あまあま度  ☆
明るさ          ☆☆☆☆☆
オススメ度  ☆☆☆☆
 嫌な事があった時、こういう映画に救われる。自分の悩みも、まあそんなもんかなーくらいに思える。
 働くようになって、映画ばかりみるようになった。実写にせよ、アニメにせよ、物語のなかのキャラクターもまた、どうにもならない現実に退屈し、うんざりしているのだと思う事で、また明日頑張ろうと思えるのだ。

 

世界一嫌いなあなたに

世界一キライなあなたに(字幕版)
 時々ラブストーリーがみたくなる時期があって、「世界一嫌いなあなたに」をチョイスした。
 予備知識を全く持たずに鑑賞したため、最初から意外な展開が続き、退屈せずに観ることが出来た。

あらすじ

  名家に産まれて何不自由しない生活を送っていた、ウィル(サム・クラフリン)が交通事故に遭い、車椅子生活を余儀なくされてしまう。以前の生活とのギャップからか、心を閉ざしてしまい、親友も彼女も失ってしまう。
 一方、働き手の誰もいない家族を、カフェのアルバイトで支えるルー(エミリア・クラーク)は、カフェの閉店に伴い、職を失ってしまう。なんとか見つけた介護の仕事で、ウィルと出会うことになる。
 実質的な介護は専属の医師が行っており、ルーはウィルの心を開くきっかけになるように期待され、雇われたのだった。
 ストーリー自体はどこかで聞いたような、ありがちなものだったが、この映画は、ウィキペディアによると、「問題作」として批判を浴びているらしい。
いったいどこが問題作なのかは、実際に鑑賞されたし、といったところだ。

映画の魅力

 この映画の魅力はなんといっても、エミリア・クラークの「笑顔」だ。彼女の笑顔を起点として、ウィルの心は少しづつ温かさを取り戻していく。日本人の感覚としては、ちょっと太めな彼女だが、表情が豊かで、瑞々しく、観客までも巻き込んで、空気を明るくしてくれる。
 一方のウィル(サム・クラフリン)だが、当初は拗ねた子供のような態度を取りまくる。なんだか日本人の感覚としては、我儘なかっこ悪いやつという印象なのだが、海外ではあれが普通なのだろうか?(もちろん、身体が不自由になるというのは辛い事だし、そうなってしまった人にしか、辛さも気持ちも分からないとは思うのだが。私ももしああなってしまったら、しばらくは周りに当り散らしてしまうに違いない)
 周囲に当り散らしてしまう彼の気持ちには共感してしまった。人間だから、他人との交流を持ちたいという欲求はあるのだが、憐れみの目で見られる事が、彼のプライドを傷付け、ますます頑なにしてしまう。
 そんななか、ルーは無遠慮に明るく、家柄も貧しくて、ウィルは介護の仕事を与えてやる立場にあり、素直に心を開きやすかったに違いない。(書いていて、男とはなんとも情けないものだと思う。しかし、男子諸君は、本当は頼りたくても、元々、対等な立場にあった人たちに弱みを見せたくないという気持ちは、理解できるのではないだろうか?)
 そんな二人が惹かれあって行く過程が非常に丁寧に描かれており、いい読書体験をしたかのような感覚が残る。

イマイチだったところ

 結末に至る動機付けが、イマイチ共感しにくいところもあった。何より気になったのが、明るい終わり方で終わったところだ。うーん、、、となんとも言えない気持ちになってしまう終わり方であったと思うが、あのひねりがなければ、凡庸なストーリーになってしまうのかもしれない。

全体として

ストーリー  ☆☆☆☆
テンポ          ☆☆☆☆
キャスト      ☆☆☆☆☆
オススメ度  ☆☆☆☆☆
 ややストーリーに物議を醸す要素はあるので、人を選ぶとは思うが、私としては非常に満足のいく映画体験となった。
ちょっと変わったラブストーリーがみたいという方には、全力でオススメしたい。