ドラゴンタトゥーの女 あらすじと感想

ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版)

あらすじ

記者のミカエル・ブルムクヴィスト(ダニエル・クレイグ )は、大物実業家の武器密売スキャンダルを掴んだが、逆に名誉毀損で訴えられてしまう。裁判で敗訴し、全財産を失ったミカエルだったが、国内最大の企業群を束ねる別の大物実業家一族からオファーが来る。

オファーの内容は奇妙なもので、40年前に失踪したハリエット・ヴァンゲルを見つけて欲しいというものだった。ハリエット失踪事件は、一族の謎であり、タブー視する者もいたが、裁判の判決を逆転させる証拠を見返りに渡すという条件で、ミカエルは依頼を受ける事にする。

 

一方、身体の至る所にピアスを付け、ドラゴンのタトゥーをしたリスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)という女は、両親の家に放火し、精神疾患者として財産を管理される生活を送っていた。彼女は表向きの仕事とは別に、ハッカーとしての顔を持っていた。

ミカエルは謎を解き明かす為に、助手としてリスベットを雇う事にする。リスベットと共に、一族から情報を集めるミカエル。集めた事実を注意深く辿って行くと、事実と証言が食い違う人物が浮上する。

感想

ミステリー小説の映画化なのだが、おそらく小説がかなり緻密な作りになっているのだろう。映像では表現しきれない部分が多く、犯人特定に至る過程の描写がやや希薄で、観ている我々にはついて行くのが難しい。

精巧なミステリーというよりは、雰囲気を楽しむ映画だと感じた。雪に閉ざされた土地や、リスベットの特徴的な容姿や行動、一族の異常性など、楽しめる箇所は沢山ある。

なにより、ダニエル・クレイグ の所作が美しい。ジェームズ・ボンドのイメージが強い彼だが、今作ではいい感じに頼りなく、そこにリスベットという個性的なキャラクターが上手くハマっている。アメリカ映画にありがちな、マッチョな男とそれに負けないくらいマッチョな女が事件を解決する物語に飽きた人には、新鮮だろう。

 

ちょっと頼りない男と個性的な女という組み合わせは、日本のアニメなんかでよくありがちな展開だが、ダニエル・クレイグ が演じると上品で格式高い雰囲気になるから不思議だ。

日本の小説で例えると、純粋なミステリーというよりは、京極夏彦なんかのイメージに近いかもしれない。

主人公をスーパーマンにするのではなく、主人公はあくまで語り部、観察者として物語に参加し、スーパーマンを観察し、事件を解決するのである。

京極夏彦が好きな人は楽しめると私は思う。

アウトロー

アウトロー (字幕版)

おトムはどんな映画に出てもおトムだなあ、、、笑 退役軍人のホームレス役のおトムが、苦しそうな顔で問題を解決するいつものパターンである。

一方で、ゴーン・ガールで見せた鬼畜な女ぶりのロザムンド・パイクは高学歴なお嬢様(弁護士)という感じで、ゴーン・ガールとは違う意味で女性らしさがすごくよかった。アメリカではこんな容姿の人が、高学歴のイメージなんだろうか。

 

あらすじ

立体駐車場の白いバンから、スナイパーライフルで対岸の人々を無差別に狙撃した男が逮捕される。元アメリカ陸軍のスナイパー、ジェームズ・バーという男だった。

逮捕の決め手となったのは、現場に駆けつけたエマーソン刑事が見つけた、駐車料金の支払いに使われた硬貨から検出された指紋だった。

ジェームズ・バーは、取り調べ中に「ジャック・リーチャーを呼べ」とメモを書く。

ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)は、元米軍憲兵隊捜査官だったが、今は引退し、年金で生活していた。呼び出されたリーチャーが到着した時、バーは護送中に受けた暴力で昏睡状態に陥っていた。

狙撃の訓練を受けているバーが逆光を選んだ事や、バーのスナイパーとしての腕と不釣り合いな命中精度、証拠となった駐車料金の硬貨の不自然さを嗅ぎ取ったリーチャーはバーの弁護人ヘレン・ロディン(ロザムンド・パイク)と組んで真犯人を見つけようとする。

 

リーチャーは酒場にいるところを、サンディという女に因縁をつけられる。リーダー格のジェブをはじめとした男5人に囲まれたリーチャーだったが、軍隊でならした格闘術であっという間に5人をノックアウトしてしまう。

ジェブをはじめとするチンピラは、何者かに雇われているようだった。また、事件の後、不自然にジェブが失踪する。何者かに消された事を悟るリーチャー。

 

バーが通っていた射撃演習場で手がかりを探る事にしたリーチャーだったが、サンディが殺され、殺人の容疑者に仕立て上げられてしまう。リーチャーは追手からの追跡を振り切りつつ、真犯人の尻尾を掴む事に成功する。

 

一方で真犯人はヘレンを捕えて人質にする事に成功し、リーチャーと最終決戦にもつれ込む。

 

感想

退役軍人、住所不定無職のおっさんが弁護士と共に事件を解決するストーリー。無職要素がなぜ必要なのか、原作を読んでいないので分からない。

途中で、サラリーマンがいるビルを眺めて、その不自由さを嘲笑するシーンがあるが、それも物語の本筋となんの関係もなかったりする(笑)

原作ではもう少し背景が説明されるのだろうが、短い映画の中だと、取って付けたようにあのシーンだけ浮いているように感じた。

 

正直、リーチャー役がトム・クルーズだからなんとか鑑賞出来るものになっている印象だ。ストーリーは平凡だが、おトムの演技を見ていると緊張感が伝わって来てドキドキ見入ってしまうのだ。

ミッション:インポッシブルと基本変わらない格闘シーンとおトムの演技なのだが、アウトローの方が退役軍人でホームレス設定だからか、素朴な演技である。

今回は、高いところに登ったり、超人的なアクションシーンがあるわけではなく、ひたすら無骨な格闘シーンが多い。元陸軍というリアリティを重んじた演出なのだろうか。

 

トム・クルーズはよくインタビューで「イーサンはスーパーヒーローじゃない」と言っていたりするけれど、そのイメージを地で行くのが今作だろう。特殊能力なんかももちろん無いが、筋トレをするかのように淡々と寡黙にミッションを遂行して行く様はカッコいいものである。

 

色あせた革ジャンと汗臭そうなTシャツ。

これを書いててはっきりしたのだが、おトムのイメージや演技はまさにトレーニングジムそのものだ。

 

ストイック   鉄

 

筋トレ好きな方は、この映画を観た後に、大胸筋やら上腕なんとか筋を鍛えるモチベーションがアップするに違いない。(笑)

 

女って怖い!! ゴーン・ガールのあらすじ 感想(ネタバレあり)

ゴーン・ガール (字幕版)

 

この映画は、結末を知らずに観るのがいいので、まだ観ていない人はブラウザバックして下さい!!

あと、カップルとか夫婦では観ない方がいいです。相手が怖くなります。

あらすじ

ニック・ダン(ベン・アフレック)の妻、エミリー・エリオット・ダンは、結婚記念日に夫にクイズを出すのが恒例となっていた。

その日は、結婚5年目の記念日で、夫のニックは、双子の妹のマーゴと経営する「ザ・バー」に立ち寄った後、家に帰った。

家にはエミリーの姿は無く、強盗が入ったような形跡があった。慌てて警察を呼ぶニック。

凶悪事件が増加傾向にある事から、警察はこの件の捜査に乗り出す。

大勢のボランティアの捜索にも関わらず、エミリーは見つからなかった。

現場を捜索する警察官。警察は経験から、現場が偽装されたものである事を見抜いていた。ニックは軽い取り調べを受けるが、あまりにも妻の事を知らないので、警察は不審に思う。ニックにアリバイがない事も確かだが、確証はなく、誰が犯人かは簡単には分からない。

この事件がニュースで報道されると、世間はエミリーに同情した。エミリーは、両親の出版した「アメイジングエミリー」のモデルで知られており、世間の認知度は高かったのだ。また、高学歴で美人のエミリーに対し、パッとしない夫であるニックをメディアと世間は攻撃し始める。

 

エミリーとニックは元々ニューヨークで暮らしていたが、不況で二人とも職を失い、またニックの母親が乳がんの末期である事が判明したため、ニックの地元のミズーリ州へと引っ越してきた。ニックは帰郷が嬉しいようだったが、エミリーは疎外感を感じていた。

また、付き合い始めた最初の二年間は、お互いを尊重しあい、楽しい時間が過ごせたのだが、時が経つにつれて初心を失って行き、夫婦仲が急速に悪化して行く過程が、エミリーの日記に綴られる。

夫のニックは、ザ・バーを経営する傍ら、地元の短大で教鞭を取っていた。短大での教え子と浮気をしていたニックだったが、ある日ニックを迎えに来たエミリーに、愛人とキスしているところを目撃されてしまう。

ショックを受けたエミリーは、夫への復讐を企てる。夫に殺人犯の罪を着せ、自殺するという計画だった。頭が切れ、計画力、実行力を兼ね備えているエミリーは、着々と準備を進め、5年目の結婚記念日に離婚を切り出そうとするニックに、川辺で考えるように促したのち、計画を実行する。

 

エミリーの巧みな戦略に、次第に追い詰められて行くニックは、妹のマーゴと協力して、弁護士のタナー・ボルトを雇い、エミリー捜索に乗り出す。

一方でエミリーは、逃亡先で自殺する予定を変更し、夫がニュースで糾弾される様子を楽しんでいた。しかし、隣人のチンピラに目をつけられて持っている金全てを奪われてしまう。困ったエミリーは、元彼で数年間ストーカーのように付き纏って来ていた富豪のデジー・コリングスを利用する事を思いつく。

デジーは快く受け入れてくれたが、エミリーが自分を選んでくれたと勘違いし、エミリーを匿っている別荘に引っ越して、一緒に暮らそうとする。

また、夫のニックは、裁判で自分の立場を有利にするため、世論を味方につける最後の手を打つ。浮気を認め、妻を愛していると率直に語る。皮肉な事に、その役割を演じているニックこそが、エミリーの望んだ夫そのものであった。

 

いよいよデジーが邪魔になったエミリーは、デジーを切り捨てるべく、デジーの家に仕掛けられている監視カメラに、自分が監禁されているように見える芝居をした後、デジーの喉をカッターで切り裂いて殺害する。

血まみれになって、エミリーが向かった先はなんと夫ニックの元だった。

エミリーは警察に正当防衛を訴え、ニックと夫婦生活を続ける選択をする。嫌がるニックだったが、エミリーは用意周到に精子バンクに預けていたニックの精子で妊娠していた。ニックは激しい怒りを感じたものの、エミリーに言葉巧みに言いくるめられ、また、子供への責任感もあり、マーゴの反対を押し切って、夫と父親の役割を演じ続ける事を決断する。

 

感想

一言でいうと、女ってマジでこえー。

同じドロドロ系のガールオンザトレインも「ガール」という単語が入っているが、こっちは全然「ガール」じゃない!

生き残るために手段を選ばない感じが、遺伝子レベルで感じられる。

夫や元彼、友人はもちろん、世論までうまく誘導して味方につけ、自分の思う方向に話を進めて行くしたたかさは、まさに女性の怖さそのものだった。

元彼を性欲を餌におびき寄せて、利用するだけ利用してあっさり殺し、罪を相手になすりつけ、あろうことか復讐すべきはずの夫の元に舞い戻ってくるという発想は、中々出来るものではない。

確かに、考えて見ればこの物語は、最初から夫の側に勝ち目が薄い。なぜなら、夫は妻を見つける事が目的となるわけだが、見つけるためには世論を味方に付け、自分の身の安全を保障する必要がある。そのためには、やはり浮気を認め、妻への愛情を語るしかカードがなく、そのカードを使ってしまった後で妻を見つけても、真実を告発する事は難しくなってしまうからだ。

「嘘ついてごめんなさい」カードは一度しか使えないのである。

その事を分かった上で、妊娠という保険まで用意してニックの元に現れたエミリーの策略は(倫理的にどうかは別として)素晴らしく考え抜かれている。

 

この映画のすごいところは、ネタばらしが物語の中盤にあるところだ。

物語の前半では、ニックの中途半端な受け答えや現場の状況からして、映画を見ている観客も登場人物もメディアも世論も、「もしかしてコイツ(ニック)が殺したんじゃね?」と思ってしまう。そして、ニックが追い詰められて行くスリルを味わうのがこの映画の醍醐味かと思いきや、中盤で「実は妻(エミリー)の仕業でしたー」と盛大なネタばらしがあり、「おいおい後半どうするんだよ??」と思わせておいて、夫婦のパワーバトルに移行して行くのである。

 

そこからはもはや夫婦の殴り合いといった展開で、どっちもかなり間違った事をしているのだが、自分の正当性を主張し、相手をいかに黙らせるかと争うのだ。

結果、妻が勝ってしまい。ニックは嫌々ながら、殺人を犯した犯罪者と一緒に子育てをしなければならなくなる。子供の事も考えると、ニックは告発出来ず、真実を墓まで持って行くしか、選択肢がなくなってしまったのだ。

 

とまあ、題材は中々過激なのだが、余計な装飾を取っ払ってしまえば、我々の身近でよく起きている普遍的な出来事に帰着する。

男子諸君は、女性の現実的でしたたかな恐ろしさを、一度は感じた事があるだろう。この映画は、それをかなり誇張した作りになっているので、妙に共感するし、現実感があって恐怖を感じる。

 

※くれぐれも、彼女や妻と一緒には見ない事!(笑)

 

レボリューショナリーロード

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで (字幕版)

「燃え尽きるまで」というサブタイトルはちょっと余計な気がします、、、(笑)

過去記事:あと1センチの恋

とか

過去記事:アバウトタイム

とか

過去記事:世界一嫌いなあなたに

と同じようなパッケージ写真だが、中身は全然違って暗い話です。そういうちょっと甘い要素が欲しい人は別の映画を見ましょう。食べ物だと全然甘くないチョコレートです。この映画。

この二人だとタイタニックとかロマンス路線イメージが先行してしまいます、、、

 

大好きなケイト・ウィンスレットがちょっと痛い役を演じている今作なのですが、ちょうど私が普段から考えている事と同じだったのでびっくりしました。

アメリカでも、サラリーマンとして生きていく事にウンザリする人って当然いるんだなーと。(まあ、当たり前なんですが)

満員電車に乗って通勤し、うんざりしてデスクに座る姿が、今の日本のサラリーマンに重なるものがあります。そんな日常に嫌気がさして、パリに行く事を決めるのですが、周りはどこか馬鹿にした風で、、、

 

あらすじ

舞台は1950年代のアメリカ。

フランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)は、そこそこ裕福な家庭を築き、子供にも恵まれて暮らしていた。近所の人からも理想の夫婦と評されていたウィーラー夫妻だったが、夫妻は不満を抱えていた。

エイプリルは俳優志望だったが、チャンスに恵まれなかった。フランクはサラリーマンにはなりたくないと思いながら育ったが、現実は厳しく、父親が働いていた会社で働かざるを得なかった。

現実に息苦しさを感じていたエイプリルだったが、ある日結婚当初憧れていたパリに移住する事を思いつく。フランクは馬鹿げた考えだと否定したが、エイプリルに説得され、次第にその気になっていく。

エイプリルの友人で、不動産仲介業を営むヘレン・キヴィングスの息子ジョンは、数学の博士号を取得したインテリだったが、精神疾患を患っていた。ヘレンはウィーラー夫妻に療養の一環としてジョンと会ってほしいと頼む。ジョンは少し変わった男だったが、真実に忠実であるがゆえにウィーラー夫妻の不満を鋭く見抜いていた。

エイプリルに反して、フランクは本心ではパリでの生活が厳しいと感じており、また運の悪いことにエイプリルの妊娠が発覚してしまう。

感想

なんかエイプリルの言動が、自分と重なって食い入る用に観てしまいました。

俳優という志があった頃は、不安ながらも、希望に満ちていた。俳優という夢を諦めてしまった今となっては、何を目指して毎日を過ごせばよいのか分からなくなる。

夫がサラリーマンとして働くことで収入はあるし、子供も健康に育っている。申し分ない家庭ではある。自分は専業主婦で、特に困った事はない。しかし、決定的に何かが足りない。時間だけは過ぎて行き、少しずつ可能性が削られていく焦り。自分はこのままでいいのだろうか? 今まで自分はこのために頑張って来たのだろうか?

エイプリルには新しく希望や夢が必要なのだ。それがパリでの新しい生活だった。

 

それを理解してくれたのは、精神疾患を患ったジョンだけだった。「絶望するには勇気がいる」とジョンは言う。

この言葉の意味はすぐには分からなかった。

多くの人は、絶望的な状況に陥ってもそれを直視することなく、ぬるま湯のような日常に使って満足しているという事なのだろうか。

直視してしまえば、ジョンのように頭がおかしくなってしまう。

ジョンの言葉を借りれば、フランクは絶望する勇気がなく、怖気づいてパリ行きを諦めてしまう。(諦めるべき合理的な理由を次々と作り始める)

フランクの判断がまともな大人の判断なのだろう。もちろん、理性では分かっているが、どうしてもエイプリルに加担してしまった。

 

物語の最後で、ジョンの両親(キヴィングス夫妻)の会話シーンが挿入される。夫は妻のつまらない話を補聴器を切って、聞かないようにしている。うまくいっている(?)一応離婚せずに続いている夫婦は、相手の話を聞いていないというシーンなのだが、これが物語全体への皮肉となっているのだろう。エイプリルもジョンも絶望を直視する勇気があったがために破綻した。しかし、現実を直視せずうまく思考停止している人間は社会でうまくやっていける。(それが幸せかどうかは分からない)

私はジョンやエイプリル側の人間(自分で勇気があるとかいうのはかなり痛いんだけれど)なので、ちょっと観ていてしんどかったです。(笑)

共感度          ☆☆☆☆☆
憂鬱度          ☆☆☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

マッチポイント

マッチポイント (字幕版)

 

   端的にいえば、プロテニス選手がお金持ちと結婚して、逆玉の輿って話。そこに、浮気やら殺人やらのドロドロした要素が上手くブレンドされていて、昼ドラっぽい展開なんだけれども、外人が演じているとダサくは見えないのが不思議なところだ。

あらすじ

  元プロテニス選手のクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、テニスクラブのコーチの仕事をしていて、上流階級のトムとテニスを通して親しくなって行く。トムの妹のクロエと結婚する事になるのだが、トムの婚約者でアメリカから来たノーラ(スカーレット・ヨハンソン)と出会ってから、彼女の事が気になり始めてしまう。

クロエと結婚生活を送り、クロエの父親の会社で働きながら、時間を見つけてノーラと密会するクリスだったが、皮肉な事に妊娠を望むクロエではなく、ノーラが妊娠してしまう。ノーラは中絶を拒否し、なんとしても子供を産むと主張する。

クリスは次第に身動きが取れなくなって行き、、、

 この映画の魅力

主人公のクリスが劇中で友人にこう呟く。

金持ちの生活はクセになる

このセリフにあるように、劇中で出てくる上流階級の暮らしは見どころの一つだ。眺めのいいマンションに住み、会社では役職を与えられ、休みは家族で別荘で過ごし、ハンティングに興じるというなんとも羨ましい生活だ。

主人公のクリスは、クロエの社会的地位やお金に惹かれたが、容姿はノーラが好みであったようだ。映画全体としても、ノーラ(スカーレット・ヨハンソン)の妖艶な美しさに焦点を当てている。ノーラの顔をアップで映しているシーンや、雨に濡れたノーラをクリスが追いかけるシーンなど、引き込まれるような「美」をノーラ(スカーレット・ヨハンソン)が担当しているのだ。

個人的にも、「アレ!?スカーレット・ヨハンソンってこんな感じだっけ?」とびっくりした。

彼氏は歳上に限るなど、物議を醸し出す発言の多い彼女だが、人を惹きつける魅力のある彼女が言うからこそ、話題になるのだろう。

そんなスカーレット・ヨハンソンが本作では魅力の一つとなっている。

 全体として

クリスがどんどん追い詰められて行く様子は、ハラハラして観るのが辛く、結末の前で一旦切って2回に分けて観ることとなった。笑

その辺が「マッチポイント」なのかなーと思って観ていたが、最後にどんでん返しもあり、非常に満足する内容だった。

暇でつまんないなー、なんていう休日に観ることを是非ともおすすめしたい。

ザ・ファーム

ザ・ファーム/法律事務所 (字幕版)

 

パッケージのトム・クルーズがかっこいい。
 ミッションインポッシブルを始めとして、トム・クルーズの役回りは一貫しているように思う。スーパーマンではなく、普通の人が困難をなんとか乗り越えるというコンセプトに基づいているためか、記憶に残っているトム・クルーズは、いつも苦しそうな顔をしている。
   今回は弁護士の役なのだが、法廷のシーンはなく、かなりヤバい事件に巻きこまれた主人公が戦うアクション・サスペンス映画だ。

   あらすじ

   ハーバードロースクールを卒業したミッチ・マクディーア(トム・クルーズ)は、メンフィスにある法律事務所から破格の年俸を提示され、就職を決める。
   妻はメンフィスという土地や家庭的な法律事務所があまり気にいらないようだったが、ミッチの説得により、しぶしぶという感じで納得する。
     ミッチは就職してしばらく経ってから、事務所の不審な動きに違和感を感じ始める。そんな中、事務所の同僚2人が、ケイマン諸島で事故死したと連絡が入り、一気に雲行きが怪しくなる。
   FBIの職員がミッチに接触し、ケイマン諸島の2人は事故死した訳ではないと教えられ・・・

   この映画の魅力

  今回はトム・クルーズも頭脳労働に勤しむ役かと思って観始めたのだが、事務所の上層部が明らかに不穏な空気を出し始めたあたりで、これは単なるリーガルドラマではないぞ!と非常にわくわくさせられる。
   入ってはいけないと言われた場所にこっそり入るとか、やってはいけないと言われた事をこっそりやる時、見つかってしまう恐怖感と同時に、なんだか難しいゲームに挑戦しているような、好奇心を掻き立てられる。
    物語全般に於いて、ミッチは非常に拙い立場に立たされるのだが、頭脳と身体能力を上手く駆使して、追っ手から逃れる。
   全体を通して、ちょっと目を瞑ってと耳を塞いでいたくなるような、ハラハラするシーンが多く、そこが好きな私としては満足のいく内容であった。

全体として

   ケイマン諸島でのパーティーの様子や、高い年俸、美人の奥さんなど前半のハイソサエティな描写から後半の落としっぷりが凄い。また、主人公のミッチもあまり公に出来ない秘密を抱えていて、ミッチ以上に、映画を観ている観客が、「この状況は拙い!」と感情移入して鑑賞する事が出来る。アクションの派手さはないが、ジワジワ追い詰められて、次の展開が気になる映画だった。
ハラハラするのが好きな人にはとてもおすすめだ。
ドキドキ度         ☆☆☆☆☆
リーガル度         ☆
アクション度     ☆☆
   一応、弁護士設定なのでアクションは少なめだ。また、弁護士なのを忘れてしまうくらい、弁護士系の描写は少ない。

 

ガールオンザトレイン

ガール・オン・ザ・トレイン (字幕版)

 自分自身、あまり幸福とは言えない事が多かったからか、傷を負ったどこか訳ありな主人公を見ると安心する。子供の頃は、なにかと爆破とか銃撃戦のある映画が好きだったが、大人になるとちょっと訳ありな主人公じゃないと物足りなく感じてきた。
 エミリー・ブラントは硬派な女優といったイメージだったから、今回のアルコール中毒者の役はちょっと新鮮だった。
 役者というのは凄いもので、本人の性格とは別のイメージ、印象を他人に与える事ができる。エミリー・ブラントがどういう人かはさておき、映画の中では本物のアルコール中毒者に見えた。
 アルコール中毒者は、本当に酒が好きで堪らないという訳ではない事が多い。どちらかといえば、リストカットに近く、自分自身を痛めつける行為の一環として飲酒量を増やしてしまう。
 結婚や恋愛など、現実の生活での悩みからアルコールに依存してしまうのだろう。苦しみを、一時的に忘れる事ができる。

あらすじ

 失業中のレイチェル(エミリー・ブラント)は、電車に乗って職場に行くふりを続けている。居候させて貰っている友人はレイチェルが、解雇された事をしらない。
電車の中で、レイチェルは元夫のトム(ジャスティン・セロー)の現在の暮らしや、その近所に住むヒップウェル夫妻の暮らしを覗き見する事が習慣になっていた。レイチェルにとってヒップウェル夫妻は理想の夫妻に思えた。
 一方、メガン・ヒップウェル(ヘイリー・ベネット)は、産んだ子供を浴槽で溺死させた過去があり、そのトラウマから逃れようと、アブディック医師のセラピーを受けていた。
 ある時、電車に乗っていたレイチェルは、メガンの不倫現場を目撃する。レイチェルは、ヒップウェル夫妻を理想の夫婦だと思っていたレイチェルはショックを受け、また、メガンに対して怒りを感じた。メガンを叱責しようと思い立ったレイチェルだったが、酒を大量に摂取していた為、途中で気を失ってしまう。
 目を覚ますと、レイチェルは自宅にいた。記憶は殆ど残っていない。そこへ、ライリー刑事がやって来て、メガンが行方不明になったと知らされるのだった。

この映画の魅力

 推理小説の雰囲気が好きな人は、楽しめる内容になっているのではなかろうか。BGMのない中、登場人物の落ち着いた語りにどこか心が癒される。
 レイチェルは結婚に未練がある「痛い女」そのものだが、社会から爪弾きにされながらも、前を向いて行動しようとする。ジメジメと部屋に引きこもる事もなく、外界で起こっている変化を察知して、行動を起こす勇敢さを持ち合わせている。(そのやり方が周りの人に全然受け入れられていないあたりが、痛いところではあるのだが)
 また、アメリカ社会ではセラピーというものが一般的に受け入れられているようで、登場人物の何人かは、アブディック医師のセラピーを受ける事になる。
 個人的には、このセラピーの描写が好きだった。海外ドラマにおいて、セラピーはよく登場する要素で、セラピーを受ける側は、お金を払って話を聞いてもらうお客様の立場にあるのだが、日本のような「お客様は神様です」思想はなく、医師はリラックスした状態(日本でこんなことをすると怒られるような体勢)で診察するし、相手を持ち上げる様子もない。隠している事があれば、容赦なく、あくまで論理的に、「それが扉を開けるキーなんだ」と言わんばかりに追求する。(おまけに社会的地位もそれなりに高そうで、経済的競争からある程度独立しており、おしゃれな家に住んでいる)
 メガン役はヘイリー・ベネットという女優なのだが、マッチポイントに出ていた頃の、スカーレット・ヨハンソンのような妖艶さがあって、非常に美しい。メガンは過去のトラウマから子供が嫌いなのだが、ベビーシッターの仕事をしていたり、美しさの裏側にある毒のようなものも、うまい具合に表現されていた。

全体として

 ある程度経験を積んだ大人は、楽しく鑑賞できる映画なのではないだろうか。10代20代が見てもあまり面白くないかもしれない。
 それにしても、マッチポイントに出ていたスカーレット・ヨハンソンも、本作のヘイリー・ベネットも、外見は非常に美しい女優なのだが、物語の中でストレスを抱えて、ヒステリックに泣きわめく姿は醜く見えてしまった。(海外の女優は、そういった人間臭さも表に出してしまうところがすごいと思う。日本の女優だと、なかなか涙と鼻水でぐちゃぐちゃというところまではいかず、アイドルのパッケージ感を残したままだ。一般的にどちらが良いかはなんとも言えないが、私個人としては、世間体に侵食されたものよりも、そうした人間臭さのある海外の女優の方が好きなのだが)
大人度        ☆☆☆☆☆
陰鬱度        ☆☆☆☆☆
ストーリー      ☆☆☆☆☆
オススメ度(一般的な)☆☆
オススメ度(個人的な)☆☆☆☆☆
 一般受けは明らかにしなさそうだが、かっこいいスーパーマンみたいな登場人物よりは、等身大で影を抱えた登場人物を見ている方が落ち着くという人は、この映画を一度ご覧になって見てはいかがだろうか?