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【いやな気分よさようなら】フィーリングGOODハンドブックを使って、認知の歪み改善を実践してみる。

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「フィーリングGOODハンドブック」について学ぶ

「フィーリングGOODハンドブック」の構成と目次

「フィーリングGOODハンドブック」は、スタンフォード大学で医学博士号を取得したデイビット・D・バーンズ博士がまとめた「認知療法」に関する書物です。

アメリカで、大ベストセラーになった「嫌な気分よさようなら」の内容を実践的に、例を交えて説明する本として出版されました。

「うつ病」の改善のための良書として知られる本書ですが、読んでみると「うつ病」特化した本というわけではなく、一般的に我々が社会生活から感じるストレスを軽減する体系化された手法が記されていることに気が付きました。

この本を読んで、得られる効果は次のようなものです。

本書で得られる改善効果

・他人と自信を持って会話が出来るようになる。(他人に対して、または周囲の視線に対する恐怖を軽減する。)

・失敗や他人に言われた事を悩み続ける事がなくなる。

・やらなければならない事を先延ばしにしなくなる。

・他人とのコミュニケーションが上手くなる。

「気分障害」に悩んでいる人ではなく、万人に共通する「不安」等の不快な気分に対処する手段を本書で身につけておくことは、非常に意義のあることと感じましたので、Morilog「メントレ部」として本書を取り上げて紹介することにしました。

メントレ部についてはこちら↓

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さて、「フィーリングGOODハンドブック」の構成ですが、

  • あなたの気分を理解する
  • 自分自身についてよい気分を抱く方法
  • 自信を持つ方法
  • 共に気分が良くなる方法
  • セラピスト専用

の5部から構成されています。

本記事では、このうち最初の2部について「フィーリングGOODハンドブック」を実際に読みながら、実践していきたいと思います。

「フィーリングGOODハンドブック」をまだ手に入れていない方は、以下のリンクから購入をオススメします。

参考書籍として、「嫌な気分よさようなら」を購入したい方は以下のリンクからどうぞ。

「嫌な気分よさようなら」は「コンパクト版」が出版されています。コンパクト版で削除されている項目は「うつ病」の薬であったり専門家向けの内容になっているので、「コンパクト版」を入手されることをオススメします。

「気分」をコントロールする手順

まず、前提として「気分」は外的要因によってもたらされるもので、コントロールすることはできないというふうに多くの人は思い込んでいる、と著者は指摘しています。

よって、気分を良くしたいのであれば、「思考」を変えることで気分は一定程度コントロールできるのだ、ということを認識しなければなりません。

フィーリングGOODハンドブック(以下、「本書」)で挙げられている例は以下のようなものです。

・相手を褒めた時、相手の受け取り方は相手の「思考」に依存している。

具体例を挙げます。

あなたの信頼しているセラピスト(日本ではセラピーはあまり有名ではありませんが、アメリカ人にでもなったつもりで聞いてください)がこのように言ったとしましょう。

「私はあなたのことが気に入っている。あなたは素晴らしい人だ」

この時、この言葉を受け取った人の反応には以下のようなものがあります。

・このセラピストは、私を元気づけようとしてそのようにお世辞を言っているにすぎない。

・このセラピストは、私に媚を売って金を巻き上げるつもりなのだ。

・このセラピストは、私のことが気に入ったようだ。治療に専念できそうでラッキーだ。

いかがでしょうか、1つの事象に対して下された評価は三者三様で、一番最後の人はいい気分になるでしょうし、その他の人は嫌な気分になるに違いありません。

この「思考」のことを本書では「認知の歪み」と定義し、これを矯正することにより、受けるストレスを極力減らしたり、自信を持って物事に取り組んだりできるようになることを目標としています。

本書では、様々な具体的事例が用意されており、それらの問題に「回答」する形で学習を進めていけるようになっています。

本記事では、それらのいくつかの事例に私が答える形で、実践していきます。

(実際に書き出して練習することを本書では「セルフ・ヘルプ」と呼んでおり、高い効果が得られるそうです。)

いやな気分よさようなら。「認知の歪み」について学ぶ

「認知の歪み」に気付く

本書で挙げられている「思考の歪み」の10パターンを表にまとめました。

全か無か思考 物事を白か黒かに分けてしまう。9成功していても、1失敗をしてしまうことで、10失敗したと考える。
一般化のしすぎ 失敗すると、「いつも」うまくいかない、と考えてしまう。(実際はそうではない)
心のフィルター 全か無か思考と似ているが、1の失敗をずっと引きずって9の成功のことを忘れてしまう。
マイナス化思考 苦労して成し遂げたことを、「誰でもできることだ」と考えてしまう。(実際はそうではない)
結論への飛躍 根拠がないのに結論を出す。例えば、誰かが笑った時に、自分へ向けられたものだと根拠がないのに考える。
拡大解釈と過小評価 短所をズームして見るのに、長所は過小評価する。
感情的決めつけ 否定的感情と現実がリンクしていると誤解する。(例:うまくいかなさそうな気がするから、本当にうまくいかないに違いない)
すべき思考 〇〇すべきだったのにしなかった。他人に向けると怒りになり、自分に向けると罪悪感になる。
レッテル貼り 失敗した→私はダメな人間だ。(失敗したからと言って、ダメな人間のレッテルを張るのは間違っている)
個人化と責任の押し付け 責任が「全て」自分または他人にあると考えること。(実際には責任が0対100ということは、ほとんどない)

さて、この表を見て、皆さんはどのように感じましたか?

私はほとんどの思考を普段からしているように感じました。

次に、実践的な練習に移ります。

本書では、「自分に気づく練習」として「怒り」について、イライラした時のことを簡潔に書き留めましょう、とあります。

怒りの感情があった時のことを思い出してみます。

生活上のパートナーが、私に「食器」を片付けで欲しいと要求してきました。

私はその時、別の作業に集中していたので、後にして欲しいと頼んだのですが、パートナーは次の自分の作業に支障が出るからと主張しました。

私は、分かったと言い食器を片付けました。

パートナーは食器が片付け終わってから1時間以上、次の作業に取り掛かりませんでした。

私はモヤモヤとした気分を感じながら、自分の作業に集中することができませんでした。

些細なこと過ぎて、書いていて情けなくなってきたのですが(笑)モヤモヤとした気分になったことは事実です。

さらに、本書ではその「モヤモヤ」した気持ちを具体的に書くように進めています。

パートナーの主張は、「次の作業に支障が出る」から「今、食器を片付けて欲しい」ということだったが、食器を片付けても作業をすぐに始めることはなかった。

私の作業を中断させてまで、優先させることだったのだろうか?

さて、ここで考えられる「認知の歪み」はなんでしょうか?
上のリストを参考にすると「すべき思考」が入っているように思われます。
私が作業したのだから、パートナーは「直ちに」後続の作業を開始する「べきだ」。
一旦、冷静になって考えてみると、パートナーがいつ作業を開始しようが私には関係なく、後で行うはずだった「食器の片付け」という作業を今しただけで、実は何の問題もないことに気がつきます。
こんな些細なことでも、苛立ちを感じてしまうなんて嫌ですよね。
「認知の歪み」を解消すれば、こうしたことに苛立つ必要はなくなるのかもしれません。

「感じ方」を変えるべきか

「認知の歪み」を改善する方法について書いてきたのですが、注意点が1つあります。

それは、全てにおいて「感じ方」を変えるべきかという問題です。

人生には負の感情を感じる場面が多くあります。その全てにおいて、感情をコントロールするというのは現実的ではありません。

例えば、誰か親しい人が亡くなれば悲しいのは当然でしょう。

それをコントロールすることは本書では考えていないようです。

さて、実際問題として、「何を」受け入れて「何を」コントロールするか決めるために、別の尺度を用意しておく必要がありそうです。

時間の尺度 どのくらいの期間その問題を考えているか?長すぎる悩みは捨てる必要がある。
行動の尺度 何か建設的な行動を起こしているか、考えているだけか?
現実性・客観性の尺度 他人に対する期待、自分に対する期待は現実的か?

客観的に見て、自分の思考や感情は妥当なものか?

有効性の尺度 その感情を持つことは、有効なことか?意味のあることか?

本書では他にも例が挙げられているのですが、よく意味の理解できなかったものは省きました。

いやな気分よさようなら。「認知の歪み」を解消する方法を学ぶ

幸福への4ステップ

「認知の歪み」について学んだところで、それを解消するための4ステップを本書に準じて紹介します。

ステップ1:気分を害した原因の特定

ステップ2:気分を分類し、記録する

ステップ3:自動思考(歪んだ思考)を記録し、「認知の歪み」がないか検討する。また、歪みを矯正した「合理的思考」を書き加える。

ステップ4:結果を記録する。

さて、前述した私のケースで実践してみます。

ステップ1:私はパートナーがすぐに作業に取り掛からないことに苛立ちを感じた。

ステップ2:怒り

ステップ3:

歪んだ思考 認知の歪み 合理的思考
パートナーは、すぐに作業に取り掛かる「べき」だ。 すべき思考  

パートナーがいつ作業に取り掛かるか、ということは問題ではない。

ステップ4:心のモヤモヤがなくなった。

思考の歪みを取り除く方法

思考の歪みを取り除く技法が体系的に書かれている部分があったので、こちらも表にまとめておきます。

さらに、個人的に使えそうだなと思ったものを紹介します。

歪みを特定する 認知の歪みリストのどれに当てはまるか考えてみる。当てはまる場合は認知の歪みを取り除けば問題は解決する。
証拠を探す 「思考」の証拠を探してみましょう。証拠が見当たらない場合は「思い込み」の可能性があるので、「結論」を断定するのはやめましょう。
二重の基準技法 別の基準で評価しましょう。あなたの友達なら、何というでしょうか?
実験技法 この作業は面倒だ!という嫌な気分に対して、本当に面倒か確かめてみましょう。つまり、少し作業をしてみるのです。意外と大したことないかも。
グレーの部分 白か黒かに分けるのをやめて、グレーを認めましょう。
調査技法 自分の思考を他人に話した時、相手は納得するでしょうか?

自分は失敗したからダメな人間だというレッテル貼りに対して、「一度失敗しただけでしょ?」という人はいるはずです。

言葉を定義する 「負け犬」という言葉を考えてみましょう。そもそも負け犬とは何でしょうか?社会的負け犬ならば、社会とは誰のことを指しているのでしょうか?

対象が明確でない場合、曖昧なレッテルを貼っているだけの可能性があります。

言葉を置き換える技法 「すべき」を「した方がより良い」に変換しましょう。(つまりしなくても良い)
責任再分配法 責任が100%自分や他人にあると勘違いしている場合に有効です。

他に考えられる原因を列挙して、その数で割ってみましょう。その方が正確な責任のレベルに近いはずです。

メリット・デメリット分析 他の技法とはアプローチが異なります。

その感情または思考にどんなメリットとデメリットがあるか考えてみましょう。

デメリットがあまりに多ければ、その思考を少し改めた方が良いでしょう。

私は、「歪みを特定する」と「メリット・デメリット分析」が使えそうだなと感じました。

「歪みを特定する」は「認知の歪み」リストに当てはまっているか考えるだけで解決するので、すごくいい手法だと思います。

「認知の歪み」リストに上手く当てはめることができない場合は、メリットデメリット分析を行えば良いでしょう。

「怒り」を感じることで自分にどんなメリットとデメリットがあるか考えてみます。

「怒り」の場合は大抵デメリットが多いと思われるので、自分が「損」をするからこの感情はコントロールした方がいいな、と合理的に判断できます。

最後に:フィーリングGOODハンドブックを読んで

いかがでしょうか?

明日からすぐに使えそうな手法が満載ですよね。

これでも、本書のうちのほんの一部について読んだに過ぎません。

例えば「先延ばし」に対する対処法も、本書に具体的に書かれています。

「うつ」の対処法を記載した本という「売り文句」で販売されている本書ですが、日常生活で感じるストレスを軽減することにも十分役に立つ内容ですし、仕事の対人関係スキルをアップさせる方法論としても有効ですよね。

「筋トレ」で体を鍛える事も大切ですが、「メントレ部」が推奨している「メントレ」で精神を鍛えて、豊かな人生を送れるようになりましょう!

本当にいい本なので、まだ購入していない人は以下からぜひ購入してみてください!