サスペンス・ホラー

女って怖い!! ゴーン・ガールのあらすじ 感想(ネタバレあり)

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ゴーン・ガール (字幕版)

 

この映画は、結末を知らずに観るのがいいので、まだ観ていない人はブラウザバックして下さい!!

あと、カップルとか夫婦では観ない方がいいです。相手が怖くなります。

あらすじ

ニック・ダン(ベン・アフレック)の妻、エミリー・エリオット・ダンは、結婚記念日に夫にクイズを出すのが恒例となっていた。

その日は、結婚5年目の記念日で、夫のニックは、双子の妹のマーゴと経営する「ザ・バー」に立ち寄った後、家に帰った。

家にはエミリーの姿は無く、強盗が入ったような形跡があった。慌てて警察を呼ぶニック。

凶悪事件が増加傾向にある事から、警察はこの件の捜査に乗り出す。

大勢のボランティアの捜索にも関わらず、エミリーは見つからなかった。

現場を捜索する警察官。警察は経験から、現場が偽装されたものである事を見抜いていた。ニックは軽い取り調べを受けるが、あまりにも妻の事を知らないので、警察は不審に思う。ニックにアリバイがない事も確かだが、確証はなく、誰が犯人かは簡単には分からない。

この事件がニュースで報道されると、世間はエミリーに同情した。エミリーは、両親の出版した「アメイジングエミリー」のモデルで知られており、世間の認知度は高かったのだ。また、高学歴で美人のエミリーに対し、パッとしない夫であるニックをメディアと世間は攻撃し始める。

 

エミリーとニックは元々ニューヨークで暮らしていたが、不況で二人とも職を失い、またニックの母親が乳がんの末期である事が判明したため、ニックの地元のミズーリ州へと引っ越してきた。ニックは帰郷が嬉しいようだったが、エミリーは疎外感を感じていた。

また、付き合い始めた最初の二年間は、お互いを尊重しあい、楽しい時間が過ごせたのだが、時が経つにつれて初心を失って行き、夫婦仲が急速に悪化して行く過程が、エミリーの日記に綴られる。

夫のニックは、ザ・バーを経営する傍ら、地元の短大で教鞭を取っていた。短大での教え子と浮気をしていたニックだったが、ある日ニックを迎えに来たエミリーに、愛人とキスしているところを目撃されてしまう。

ショックを受けたエミリーは、夫への復讐を企てる。夫に殺人犯の罪を着せ、自殺するという計画だった。頭が切れ、計画力、実行力を兼ね備えているエミリーは、着々と準備を進め、5年目の結婚記念日に離婚を切り出そうとするニックに、川辺で考えるように促したのち、計画を実行する。

 

エミリーの巧みな戦略に、次第に追い詰められて行くニックは、妹のマーゴと協力して、弁護士のタナー・ボルトを雇い、エミリー捜索に乗り出す。

一方でエミリーは、逃亡先で自殺する予定を変更し、夫がニュースで糾弾される様子を楽しんでいた。しかし、隣人のチンピラに目をつけられて持っている金全てを奪われてしまう。困ったエミリーは、元彼で数年間ストーカーのように付き纏って来ていた富豪のデジー・コリングスを利用する事を思いつく。

デジーは快く受け入れてくれたが、エミリーが自分を選んでくれたと勘違いし、エミリーを匿っている別荘に引っ越して、一緒に暮らそうとする。

また、夫のニックは、裁判で自分の立場を有利にするため、世論を味方につける最後の手を打つ。浮気を認め、妻を愛していると率直に語る。皮肉な事に、その役割を演じているニックこそが、エミリーの望んだ夫そのものであった。

 

いよいよデジーが邪魔になったエミリーは、デジーを切り捨てるべく、デジーの家に仕掛けられている監視カメラに、自分が監禁されているように見える芝居をした後、デジーの喉をカッターで切り裂いて殺害する。

血まみれになって、エミリーが向かった先はなんと夫ニックの元だった。

エミリーは警察に正当防衛を訴え、ニックと夫婦生活を続ける選択をする。嫌がるニックだったが、エミリーは用意周到に精子バンクに預けていたニックの精子で妊娠していた。ニックは激しい怒りを感じたものの、エミリーに言葉巧みに言いくるめられ、また、子供への責任感もあり、マーゴの反対を押し切って、夫と父親の役割を演じ続ける事を決断する。

 

感想

一言でいうと、女ってマジでこえー。

同じドロドロ系のガールオンザトレインも「ガール」という単語が入っているが、こっちは全然「ガール」じゃない!

生き残るために手段を選ばない感じが、遺伝子レベルで感じられる。

夫や元彼、友人はもちろん、世論までうまく誘導して味方につけ、自分の思う方向に話を進めて行くしたたかさは、まさに女性の怖さそのものだった。

元彼を性欲を餌におびき寄せて、利用するだけ利用してあっさり殺し、罪を相手になすりつけ、あろうことか復讐すべきはずの夫の元に舞い戻ってくるという発想は、中々出来るものではない。

確かに、考えて見ればこの物語は、最初から夫の側に勝ち目が薄い。なぜなら、夫は妻を見つける事が目的となるわけだが、見つけるためには世論を味方に付け、自分の身の安全を保障する必要がある。そのためには、やはり浮気を認め、妻への愛情を語るしかカードがなく、そのカードを使ってしまった後で妻を見つけても、真実を告発する事は難しくなってしまうからだ。

「嘘ついてごめんなさい」カードは一度しか使えないのである。

その事を分かった上で、妊娠という保険まで用意してニックの元に現れたエミリーの策略は(倫理的にどうかは別として)素晴らしく考え抜かれている。

 

この映画のすごいところは、ネタばらしが物語の中盤にあるところだ。

物語の前半では、ニックの中途半端な受け答えや現場の状況からして、映画を見ている観客も登場人物もメディアも世論も、「もしかしてコイツ(ニック)が殺したんじゃね?」と思ってしまう。そして、ニックが追い詰められて行くスリルを味わうのがこの映画の醍醐味かと思いきや、中盤で「実は妻(エミリー)の仕業でしたー」と盛大なネタばらしがあり、「おいおい後半どうするんだよ??」と思わせておいて、夫婦のパワーバトルに移行して行くのである。

 

そこからはもはや夫婦の殴り合いといった展開で、どっちもかなり間違った事をしているのだが、自分の正当性を主張し、相手をいかに黙らせるかと争うのだ。

結果、妻が勝ってしまい。ニックは嫌々ながら、殺人を犯した犯罪者と一緒に子育てをしなければならなくなる。子供の事も考えると、ニックは告発出来ず、真実を墓まで持って行くしか、選択肢がなくなってしまったのだ。

 

とまあ、題材は中々過激なのだが、余計な装飾を取っ払ってしまえば、我々の身近でよく起きている普遍的な出来事に帰着する。

男子諸君は、女性の現実的でしたたかな恐ろしさを、一度は感じた事があるだろう。この映画は、それをかなり誇張した作りになっているので、妙に共感するし、現実感があって恐怖を感じる。

 

※くれぐれも、彼女や妻と一緒には見ない事!(笑)