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世界一嫌いなあなたに

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世界一キライなあなたに(字幕版)
 時々ラブストーリーがみたくなる時期があって、「世界一嫌いなあなたに」をチョイスした。
 予備知識を全く持たずに鑑賞したため、最初から意外な展開が続き、退屈せずに観ることが出来た。

あらすじ

  名家に産まれて何不自由しない生活を送っていた、ウィル(サム・クラフリン)が交通事故に遭い、車椅子生活を余儀なくされてしまう。以前の生活とのギャップからか、心を閉ざしてしまい、親友も彼女も失ってしまう。
 一方、働き手の誰もいない家族を、カフェのアルバイトで支えるルー(エミリア・クラーク)は、カフェの閉店に伴い、職を失ってしまう。なんとか見つけた介護の仕事で、ウィルと出会うことになる。
 実質的な介護は専属の医師が行っており、ルーはウィルの心を開くきっかけになるように期待され、雇われたのだった。
 ストーリー自体はどこかで聞いたような、ありがちなものだったが、この映画は、ウィキペディアによると、「問題作」として批判を浴びているらしい。
いったいどこが問題作なのかは、実際に鑑賞されたし、といったところだ。

映画の魅力

 この映画の魅力はなんといっても、エミリア・クラークの「笑顔」だ。彼女の笑顔を起点として、ウィルの心は少しづつ温かさを取り戻していく。日本人の感覚としては、ちょっと太めな彼女だが、表情が豊かで、瑞々しく、観客までも巻き込んで、空気を明るくしてくれる。
 一方のウィル(サム・クラフリン)だが、当初は拗ねた子供のような態度を取りまくる。なんだか日本人の感覚としては、我儘なかっこ悪いやつという印象なのだが、海外ではあれが普通なのだろうか?(もちろん、身体が不自由になるというのは辛い事だし、そうなってしまった人にしか、辛さも気持ちも分からないとは思うのだが。私ももしああなってしまったら、しばらくは周りに当り散らしてしまうに違いない)
 周囲に当り散らしてしまう彼の気持ちには共感してしまった。人間だから、他人との交流を持ちたいという欲求はあるのだが、憐れみの目で見られる事が、彼のプライドを傷付け、ますます頑なにしてしまう。
 そんななか、ルーは無遠慮に明るく、家柄も貧しくて、ウィルは介護の仕事を与えてやる立場にあり、素直に心を開きやすかったに違いない。(書いていて、男とはなんとも情けないものだと思う。しかし、男子諸君は、本当は頼りたくても、元々、対等な立場にあった人たちに弱みを見せたくないという気持ちは、理解できるのではないだろうか?)
 そんな二人が惹かれあって行く過程が非常に丁寧に描かれており、いい読書体験をしたかのような感覚が残る。

イマイチだったところ

 結末に至る動機付けが、イマイチ共感しにくいところもあった。何より気になったのが、明るい終わり方で終わったところだ。うーん、、、となんとも言えない気持ちになってしまう終わり方であったと思うが、あのひねりがなければ、凡庸なストーリーになってしまうのかもしれない。

全体として

ストーリー  ☆☆☆☆
テンポ          ☆☆☆☆
キャスト      ☆☆☆☆☆
オススメ度  ☆☆☆☆☆
 ややストーリーに物議を醸す要素はあるので、人を選ぶとは思うが、私としては非常に満足のいく映画体験となった。
ちょっと変わったラブストーリーがみたいという方には、全力でオススメしたい。